建築相談室②
Q.熊本地震後の報道で直下率が重要ということを聞きましたが、どのようなことなのでしょうか?
2階建て以上の在来木造建築物において、上下階の柱や壁が同じ位置にある割合を直下率といいます。
(平屋の場合は直下率はありません)
1階と2階の柱や壁が同じ位置にあれば、上下のバランスがとれているので自重や地震や風に対して強いという考えです。
建築基準法では一般的に木造2階建では構造計算をせずに、壁の量や壁のバランスの規定に適合していれば良い場合がほとんどです。
しかしこの規定は各階それぞれの壁量・バランスを規定しているだけで、上下階のバランスについては規定がありません。
この点を補完するのが直下率です。
しかし直下率は建築基準法にありませんので、これについて考えているかどうかは設計者次第ということになります。
1階の大きなLDKの2階に寝室や子供部屋などをプランしたいが、2階の柱や壁の下(1階)に柱や壁がない・・・
1階のLDKの2階に少し引っ込んだバルコニーをプランしたいが、2階の外壁の下(1階)に柱や壁がない・・・
など、直下率を上げることは簡単ではありません。
建築主と設計者が間取りと構造のバランスをとりながら計画することが大切になります。
ちなみに僕は構造計算をしたうえで、直下率も検討します。
僕は直下率の目安(これ以上あれば良い)を以下の通りとしています。
柱直下率:60%以上 壁直下率:65%以上 耐力壁直下率:50%以上